◇
「あんた、兄貴と一緒に住むのか?」
隣を歩く拓馬が、私の方を見ずに淡々と訊く。
一馬さんに頼まれたとおり、拓馬が私を送ってくれることになり、アパートへ向かっているところだった。
「いや、まだ決まったわけではなくて」
「兄貴の方は、結婚する気満々て感じだよな」
「そう……なのかな。私は正直、一馬さんの本当の気持ちがわからない。一花ちゃんのために結婚を考えているだけで、私じゃなくてもいいんじゃないかって、そんな気がする」
「だろうな。俺から見ても、兄貴はあんたを利用しているだけに見えるから」
拓馬は投げやりに言い、唐突に話題を変えた。
「そういえば奈雪さー……、ハルにも誉められてたな」
どこか不機嫌そうに拓馬が私を見下ろす。
私はさっきマンションの玄関を出るとき、見送ってくれたハルくんに、「なゆさん、いつもと雰囲気違う。キレイ」と言われたことを思い出した。
「翔さんのおかげだよ。自分じゃこんなに変われないし。明日からは普通に戻ると思う」
翔さんのメイクで今の自分を保っていられるだけであって、メイクを落とせばまた、地味な私に戻ってしまう。
「あんた、兄貴と一緒に住むのか?」
隣を歩く拓馬が、私の方を見ずに淡々と訊く。
一馬さんに頼まれたとおり、拓馬が私を送ってくれることになり、アパートへ向かっているところだった。
「いや、まだ決まったわけではなくて」
「兄貴の方は、結婚する気満々て感じだよな」
「そう……なのかな。私は正直、一馬さんの本当の気持ちがわからない。一花ちゃんのために結婚を考えているだけで、私じゃなくてもいいんじゃないかって、そんな気がする」
「だろうな。俺から見ても、兄貴はあんたを利用しているだけに見えるから」
拓馬は投げやりに言い、唐突に話題を変えた。
「そういえば奈雪さー……、ハルにも誉められてたな」
どこか不機嫌そうに拓馬が私を見下ろす。
私はさっきマンションの玄関を出るとき、見送ってくれたハルくんに、「なゆさん、いつもと雰囲気違う。キレイ」と言われたことを思い出した。
「翔さんのおかげだよ。自分じゃこんなに変われないし。明日からは普通に戻ると思う」
翔さんのメイクで今の自分を保っていられるだけであって、メイクを落とせばまた、地味な私に戻ってしまう。



