「何言ってるんだよ。俺は渚の彼氏でしょ?それとも、渚は俺にお父さんになって欲しいの?」


「やだ……」


抗議の瞳を向ければ、またクスリと笑われた。


「冗談だよ」


再びあたしの手を握った雪ちゃんが、ゆっくりと歩き出す。


あたしに合わせてくれる歩幅は、足の長い彼には何だか不釣り合いに思えて、小さな笑みが零れてしまう。


雪ちゃんの、二重の柔らかい瞳が好き。


スッと通った鼻筋も、少しだけ薄い唇も、左の目尻にある小さなホクロも、骨張った手も…。


全部、全部、大好き。