「渚、どうせ暇なんでしょ?」


「あたしにだって、予定くらい……」


放課後、帰り支度を済ませてから決め付けるように言った真保に唇を尖らせたけど、残念ながら彼女の言う通り暇なのは間違いない。


図星を突かれた事に口を噤むと、真保が眉を寄せて小さく笑った。


「ウジウジしてても仕方ないんだし、空き時間が出来たと思って有意義に受験勉強でもしようよ。あたし達、一応受験生なんだからさ」


「あたし、進学しないもん」


「……就職するにしても、筆記試験はあるんだよ?」


「うちの工場で事務でもするから、就職試験も受けないもん」