「ほら、そんな顔しないで。せっかくの誕生日なんだから」


尖らせたあたしの唇に、雪ちゃんが人差し指を当てた。


優しい笑顔で額にチュッとキスを落とされて、今すぐにでも溶けてしまいそうになる。


「ハッピーバースデー」


差し出された左手には、赤いリボンに包まれた小さな箱が乗っていて……。


「わぁ、ありがとう!」


一瞬で嬉しさが込み上げたのと同時に、今まで抱いていた不服な気持ちがどこかに吹き飛んでしまった。


「開けてもいい?」


「どうぞ」


雪ちゃんに断りを入れてからリボンを解いて、ラッピングも取った。