あたしがこの海岸で雪を見た日から、もうすぐ五年が経とうとしている。


その間この街に訪れた冬に、雪は一度も降っていない。


しかも……。


あれから数日後に雪が降った事をお兄ちゃんや両親、それから雪ちゃんの両親や真保にも言ったけど、誰もあの日の雪を見ていなかった。


だから尚更、あの時に見た雪は本当は幻だったんじゃないか、と思ってしまう事がある。


今もまだ、その真偽はわからないけど……。


あたしは、やっぱりあの奇跡は雪ちゃんが起こしてくれたものだと思うし、そう信じていたい。


だって……。