部屋に戻ったあたしは、メイクもせずに適当に服を選んだ。


雪ちゃんに見て貰えないのなら、メイクをしたり髪を巻いたりする気にもなれない。


そんな姿で出掛けるなんて、今までのあたしなら考えられなかったけど……。


ここ二ヶ月は、学校に行く時も同じような状態だった。


着替えを済ませて部屋を出ると、ちょうど朝食を済ませて二階に上がって来たお兄ちゃんと鉢合わせた。


「渚、出掛けるのか?」


あたしを見たお兄ちゃんは、困ったような表情をしている。


だけど……。


程なくして、お兄ちゃんが小さく笑った。