あの海岸に行けば、キラキラと輝く海が迎えてくれるけど……。


今のあたしに、それを綺麗だと思う心は無い。


全てが歪んで見える気がする世界では、瞳に映る全てのものが虚しい色をしている。


毎日見る景色の中に雪ちゃんがいない事で、あたしの瞳に映る世界は美しさを欠いてしまったのかもしれない。


海を見つめながら思い出すのは、雪ちゃんと過ごした幸せな日々なのに……。


彼との思い出の海ですら、あたしはもう綺麗だと思えないんだ。


このままだと、いつかは雪ちゃんとの思い出まで色褪せてしまいそうで、すごく恐かった──。