お兄ちゃんの言葉は、有り触れた台詞だったとは思う。


だけど……。


ちゃんと学校に行けば、雪ちゃんが褒めてくれる気がして……。


学校帰りにあの海岸に行けば、彼に会える気もして──。


「わかった……」


雪ちゃんに会えそうな理由を無理矢理考えたあたしは、すっかり枯れてしまった声を振り絞って小さく答えた。


未だにまともに食事すら摂れていないあたしが、ちゃんと授業やテストを受けられるはずなんて無いけど……。


雪ちゃんに会えそうな理由が出来た事で、あたしの心の中には砂粒程の希望が芽生えていたんだ。