泣きながら左腕に違和感を感じて、ゆっくりと顔を動かした。


視線の先には点滴に繋がれた手と、やけに明るい窓。


意識を失ったまま一夜を明かした事を認識して、ゆっくりと体を起こす。


すると、窓の遥か向こうに広がっていたのは、太陽の光を浴びてキラキラと輝いている海だった。


その瞬間、雪ちゃんが海を見たがっていた事を思い出して……。


そして同時に、結局は海を見せてあげられなかった事にまた後悔が募った。


ごめんね、雪ちゃん……。


涙のせいで声にならない言葉を、あたしは心の中で何度も何度も繰り返していた──。