瞼を開けて最初に視界に入って来たのは、真っ白な天井だった。


見慣れない景色に不安を抱くよりも早く体を起こそうとした瞬間、お兄ちゃんがそれを制するようにあたしの両肩を優しく押した。


「まだ横になってろ……」


充血した瞳を隠すように視線を逸らしたお兄ちゃんに、さっきまで見ていたのは夢じゃないんだと理解する。


「雪ちゃんは……?」


それでも信じたくなくて震える声で尋ねれば、お兄ちゃんは眉を寄せながら俯いてしまった。


その態度はどんな言葉よりも強い説得力を持ち、あたしに残酷な現実を突き付けた。