「な、ぎさ……」


雪ちゃんは苦しそうにしながらも、あたしの名前を呼んでくれて……。


その優しい笑みは、あたしの事をちゃんとわかっているんだって事を示す、何よりも確かな証だった。


だけど……。


次に雪ちゃんが紡いだ言葉は、声にはならなくて。


何を伝えようとしたのかを理解した時には、彼はもう目を閉じてしまっていて。


歪む視界の中の雪ちゃんの姿が、少しずつ白んでいく。


とうとう彼の姿すら見えなくなって、目の前が真っ白になるその瞬間……。


あたしの世界が、終わりを告げたような気がした──。