校門まで行くと、見慣れた車が停まっていた。


「渚!」


車から出て来たお兄ちゃんが、真保を見て全てを察したように小さく笑う。


「真保ちゃん、サンキューな。でも、後は俺が連れて行くから、真保ちゃんは教室に戻りな」


彼女は眉を寄せながらも頷いて、お兄ちゃんにあたしのバッグを渡した。


「渚、雪緒君は大丈夫だよ!だって、明日は指輪を買いに行くんでしょ!?」


おばさんから電話が掛かって来る前に、笑顔で話していたマリッジリングの事。


今はそれどころじゃなかったけど、あたしは小さく頷いた。