教室の中は賑やかなのに、あたしだけ真っ暗な世界に突き落とされてしまった気がした。


「渚?」


目の前にいた真保が、あたしの様子を窺うように眉を寄せる。


「電話、雪緒君のおばさんからなんでしょ?どうかしたの?」


「ゆ、きちゃ……」


質問に答えようにも、上手く唇が動かせない。


『渚ちゃん、大丈夫?』


電話口のおばさんの声にも返事が出来ないままで、座っているのに自由が効かない体はガクガクと震えた。


すると、そんなあたしの手から携帯を抜き取った真保が、あたしの代わりに話し始めた。