久しぶりに流した涙は、唇に触れてもしょっぱくなかった。


嬉しさと幸せいっぱいの心の中では、ほんの少しの不安と切なさも燻っていたけど……。


今だけはその事に気付かない振りをして、雪ちゃんに抱き着いた。


両親達の前だからか、彼は遠慮がちに背中を撫でてくれただけだった。


それでも伝わって来る温もりに、夢じゃない事を実感する。


「ぁ……りがと……っ……!」


雪ちゃんに、お兄ちゃんに、両親達に……。


精一杯の感謝の気持ちを込めた言葉は、涙が邪魔をして上手く言えなかった。


だけど……。