「はい」


「ふつつかな娘ですが、よろしくお願いします」


短く返事をしたのはお父さんで、そう言ったのはお母さん。


「こら、雪緒!俺にも頭下げやがれ」


偉そうにそんな事を言い放ったのは、もちろんお兄ちゃん。


それから、お兄ちゃんは嬉し涙を堪えているあたしに苦笑した。


「渚。嬉し涙は、別だと思うぞ?」


何の事だかわかっていない両親達は、不思議そうにしていたけど……。


お兄ちゃんと同じく苦笑していた雪ちゃんが頷いてくれたから、両親達を気にする余裕も無く瞳から涙が零れ落ちた。