視界いっぱいに広がるおばさんの顔は、微笑みを浮かべているのに……。


その表情に感じたのは嬉しさじゃなく、胸を締め付けるような切なさだった。


傷付けたのは、きっとあたし。


この“ワガママ”を口にした事で、雪ちゃんの病気が彼に与える結末をほのめかしたようなものだから……。


だけど……。


“ごめんなさい”と言ってしまえば、おばさんが必死に堪えている涙を零させてしまう気がして、謝罪の言葉を口にする事は出来なかった。


おばさんは、そんなあたしの心に優しい笑みだけを残して、雪ちゃんに視線を遣った。