秒針が時を刻む。


その音が響く度に、こんな事をしている時間すら勿体ないと感じて、一刻も早く皆を説得したかった。


そんなあたしの気持ちを察するように、おばさんがこう言った。


「渚ちゃん、顔を上げて」


言われた通りにすると、立ち上がったおばさんがあたしの前に来て、ゆっくりと床に膝を付いた。


その瞳には、うっすらと涙が浮かんでいる。


「雪緒の事を……こんなにも大切に想ってくれて、本当にありがとう」


溢れる涙を堪えるように笑ったおばさんは、あたしの瞳を真っ直ぐ見つめながら優しく紡いだ。