ずっと消えない約束を、キミと〜雪の降る海で〜

やっぱり、雪ちゃんはずるい。


あたしだけに忘れるように言う彼は、きっと誰よりも優しくて……。


だけど、誰よりも残酷だ。


ただ残酷なだけなら、泣き喚いて責める事も出来たのに……。


あまりにも深い優しさを伴っているから、もう涙を誘う熱を感じる事すら許されなくなってしまう気がした。


頬にある温もりに自分の手を重ね、噛み締めていた唇でゆっくりと弧を描く。


「雪ちゃん……」


「ん?」


「あたしは、ずっと雪ちゃんの傍にいるよ。だから……今はまだ、その約束は出来ないよ……」