相変わらず、雪が溶けない術はわからなくて……。


それならそれで強くなろうと決めたのに、人はそう簡単には成長出来ないものなんだと知っただけ。


だけど──。


「渚、どうかした?」


雪ちゃんと同じ時間を歩むと決めたから、彼の前だけでは笑顔を消しちゃいけない。


「あのね、明日の英単の小テスト嫌だな〜って思ってただけ」


だから、あたしは笑うし、心に住み着かせてしまった不安は隠す。


「渚は、英語も苦手だもんね……」


だって、例え苦笑だったとしても、雪ちゃんの“笑顔”を見ていたいから……。