どんな時でも、時間は平等に刻々と過ぎていく。


その事を嫌ってくらいに痛感したのは、十月も終わりを迎えようとしている頃だった。


時を刻む秒針の音はそれを誇張するかのようで、無意識のうちに不安を孕んだ不快感が募る。


今までは、何とも感じなかった事なのに……。


残酷なリミットを突き付けられた今は、聞き慣れた秒針の音をすごく恐いと思うんだ。


恐怖に襲われて油断した途端に緩みそうになる涙腺は、約束を守る為にしっかりと蓋をする。


いっその事、南京錠でも無ければ開けられないようにしたいくらいだ──。