交わすキスには、確かに二人分の想いがこもっていて……。


あたしの心の中は、柔らかな幸せで満ち溢れていた。


それでもやっぱり、言葉に出来ない苦しみが消える事は無い。


だけど……。


例えば、あたしに“出来る事”をする事で雪ちゃんの笑顔に繋がって、こんな風に穏やかで温かい時間が生まれるのなら、それはきっとすごく幸せな事。


だったら、あたしはその苦しみも受け止められるくらいに強くなって、彼と一緒に時を刻んでいく。


あたし達に課せられた“最期の瞬間”までは、何があっても精一杯笑い続けて見せるから──。