「別に何も言ってなかったよ?『夕方には帰る』って言ってたのと、雪ちゃんの事を頼まれたくらいかな」


小さな笑みを見せたあたしに、雪ちゃんが苦笑した。


「渚に頼まれると、何か余計な心配が必要になる気がするんだけど……」


「ひっどーい!あたしだって、留守番くらい出来るもん!」


「ついこの間まで、『留守番中に狼が来る』って泣いてたの、誰だっけ?」


「それは、お兄ちゃんがそう言ったからっ……!大体、そんなの小学生の時の話だもん!」


頬を膨らませて反論すると、雪ちゃんが楽しげにクスクスと笑った。