三十分もしないうちに二人は出掛け、あたしは雪ちゃんと彼の部屋に行った。


「父さんと母さん、何か言ってた?」


「え?」


「最近、二人で出掛ける事なんてなかったから珍しいな、と思ってさ」


小首を傾げたあたしに、雪ちゃんは複雑そうな笑みを浮かべながら付け足した。


彼の病気が発覚してから、きっと二人が一緒に出掛ける事は無かったんだと思う。


雪ちゃんは一人っ子だし、病気の彼を一人で家に置いて出掛けるのは心配に決まっているから。


そんな二人の気持ちを察すると、胸の奥が少しだけ痛んだ。