本当はすごく苦しくて、いつもみたいに泣いてしまいたかったけど……。


こんな事にすら耐えられなかったらまた甘えてしまいそうだったから、感じた熱も痛みもグッと堪えた。


それから深呼吸をして、口角をキュッと上げた。


「泣かないよ」


そんなあたしに笑みを向けたお兄ちゃんの顔は、思い切り眉間にシワが寄っていて……。


その表情を見ながら、たぶんあたしも同じような顔をしているんだって思った。


だけど……。


今はまだ下手くそな笑顔でも、明日からはちゃんと笑える。


何だか、そんな気がしたんだ──。