「そうだね……」


そう呟いた声が少しだけ震えていた事に気付いて、ゆっくりと深呼吸をする。


「強くならなきゃダメだよね……」


今度はちゃんと言えた事に少しだけ安堵して、ため息が漏れた。


すると、そんなあたしを見ていたお兄ちゃんが、頭をガシガシと掻いた。


「……でも、今日だけは泣いてもいいぞ」


やっぱり、お兄ちゃんはあたしには甘いみたい。


どこか気まずそうに落とされた言葉に、思わずフッと笑ってしまったけど……。


同時に込み上げた目頭の熱と鼻の奥の鋭い痛みは、何とか堪えた。