その日の夜、家に帰ると誰もいなかった。


お風呂に入った後、一人ぼっちのリビングの静けさが嫌でテレビを点けた。


その瞬間、画面いっぱいに雪に覆われた景色が映って──。


『俺は……雪と同じように消えてしまうから……』


意図せず、雪ちゃんの言葉を思い出した。


テレビに映るのは、どこか知らない国。


降り積もった分厚い雪は、きっと年中溶ける事は無いんだろう。


「雪って……どうすれば溶けないのかな……」


そんな事をポツリと呟けば、心の中に募った不安と心細さに涙が込み上げて来た。