“何があっても泣かない”。


その“何”はきっと、“言葉に出来ない程の良くない事”を指していて……。


甘えてばかりのあたしがちゃんと受け止める事が出来るのか、なんて考える事すら愚問(グモン)だと思う。


それでも“NO”と答えてしまえば、行き着く先は一つだけ……。


だから、たくさんの不安を抱えたまま頬を伝う涙を拭いてから、瞳に浮かぶ雫も少しだけ乱暴に拭った。


後はもう、頷くだけだった。


淡い月が浮かぶ海は、不安を煽るような深い藍色。


雪ちゃんは、いつまでも苦しげな表情を浮かべていた──。