結局、あたしは遅刻ギリギリで教室に飛び込んだ。


「セ、セーフ……」


「珍しいね〜、渚がギリギリなんて。今日は雪緒君と一緒だったんでしょ?」


息を切らしながら呟いたあたしに、隣の席の加原真保(カハラマホ)が言った。


あたしと彼女も幼稚園からずっと一緒だから、それこそ腐れ縁の仲なのかもしれない。


「だって……途中で、お兄ちゃんが邪魔して来たから……」


「章太郎君が?どうして?」


「また後で話すよ……」


不思議そうな顔をしている真保を横目に、グッタリとしながら机に突っ伏した──。