『……俺達、別れよう』


雪ちゃんから告げられた残酷な言葉が、頭の中で何度も谺する。


考えれば考える程、思い出すのは海岸で見せられた彼の面倒臭そうな表情ばかり。


記憶がそんなものに占領されて、あんなにも見て来た柔らかく優しい笑顔が思い出せなくなっていく。


それを払拭したくて、机の横に飾ってあるコルクボードに貼った写真に視線を遣って、頭の中を雪ちゃんの笑顔でいっぱいにした。


だけど……。


そんな付け焼き刃のようなやり方では、またすぐに負の感情に負けてしまいそうになるんだ……。