目の奥から一気に熱が込み上げ、我慢する暇も無く涙がポロリと零れ落ちた。


「な、んで……?」


掠れた声で素直な疑問を口にしたあたしに、お兄ちゃんは眉を寄せているだけで……。


それが余計に、あたしの涙を外へと誘った。


あれだけ泣いたのに涙が涸れる事は無くて、次から次へと溢れる雫を零し続ける。


歪んだ視界の中にいるお兄ちゃんが、今どんな顔をしているのかわからない。


だけど──。


「何でも、だ」


お兄ちゃんが背中を向けて部屋を出て行く姿は、やけに鮮明に見えた。