ずっと消えない約束を、キミと〜雪の降る海で〜

「渚……」


不意にドアがノックされて、お兄ちゃんが遠慮がちに顔を覗かせた。


「飯くらい食え」


涙ぐんだままの瞳を伏せて、首を小さく横に振る。


お兄ちゃんは深いため息を一つ零して、ベッドに腰掛けた。


「もう三日もまともに食べてないだろ……」


低いけど優しい声が静かに落ちて来て、大きな手がまるで壊れ物を扱うかのようにあたしの頭を撫でる。


「何も欲しくないの……」


弱々しく零したあたしに、お兄ちゃんがまたため息を漏らした。


「お前は、本当に雪緒が全てなんだな……」