息が苦し過ぎて、呼吸が荒くなっていく。


「だから、渚とはもう……」


「雪ちゃ……死ぬ、の……?」


お兄ちゃんの言葉を遮ったあたしの視界は、涙で滲んでいるのに……。


程なくしてお兄ちゃんが小さく頷いた姿だけは、やけにクリアに見えた。


もう、声も出ない。


頭の中が真っ白になっていく最中、あたしはリビングを飛び出していた。


「渚っ!?」


息が苦しくて堪らないのに、走るなんてバカなのかもしれないけど……。


今のあたしに、何かを考える余裕なんて残っていなかった──。