お兄ちゃんはゆっくりと深呼吸をした後、何かを決意するように目を閉じた。


次にお兄ちゃんが口を開いたら、きっと真実が紡がれる。


聞きたい事なのに、それを知ってしまうのはどうしようもないくらい恐い。


恐怖心のせいなのか、体温が下がっていく。


程なくして、目を開けたお兄ちゃんの視線があたしを鋭く突き刺した。


知りたいと思う気持ちとは裏腹に、ここから逃げ出す事を考えてしまう。


そして、次の瞬間……。


「雪緒は……病気なんだ……」


お兄ちゃんの低い声が、静かなリビングに響いた。