藁半紙の原稿

話が進む程に、霎介さんの眉間のシワは深くなっていく。





「これが、俺が近頃おまえの所に寄り付かなかった理由だ」




すまん!と一声あげて彼はさらに頭を下げる。

真っ赤になっている彼の耳を見て、頭に血が上って大変じゃあないかしらと思った。









「…………済んだ事だ」



いつもより少し低さを増した霎介さんの声がした。

ようやく上げた清太郎さんの顔は、ずっと頭を下げていたのでやはり赤くなっていた。


霎介さんは先程の不愉快窮まりないといった表情からは一転して、清太郎さんを馬鹿にするように片頬だけで笑っていた。







怒ってくれても良いのに、
なんとなく思った。















「そのかわり詫びとして栞君に何か貢げ」

「そんな、霎介さん…」

「あいわかった。物で済ます気はないがないわけにもいかぬ」







私が戸惑った霎介さんの提案に霎介さんはその通る声で威勢よく答えて家を飛び出していった。