藁半紙の原稿

「あの…」
「誰かと思えば太郎じゃないか」



"頭を上げて下さい"と言おうとした私の背後から、訝しげに、物珍しげに響く声がした。





「あさ…」

「なんだ。
久々に来たかと思えば早速栞君に何か迷惑でもかけたのかい?」



あ、




霎介さんの言葉に一瞬私は心臓が跳ねた心地がしたが、今は言えそうな雰囲気ではなかったので何も言うまい。







「あさ…お前さんにも謝らなければ俺は自分を許してはおけまい」



清太郎さんは呟くようにそう言うと霎介さんに身体の中心を合わせ、またしても深く頭を下げた。


「太郎…?」

「一先ず俺の仕出かした事を聞いてくれ」




訳がわからず霎介さんは私を見たが私もなんと言えば良いか分からず申し訳なくて俯きがちに見つめ返すと首を傾げたまま固まったように見えた。


どうしたのか私が問おうとしたが私達のやり取りが全く見えていない清太郎さんがそのまま喋り出したので霎介さんの注意も彼に戻った。









清太郎さんは、ここの所全く顔を出さなかった理由となる事の次第を正直に告げ謝罪した。





始終、顔は伏せたままだった。