藁半紙の原稿

久しぶりに会った清太郎さんは複雑そうな顔で立っている。

向かって右側の頬がやけに赤い。




「殴ってやったわ」




ぐっと拳をつくりながら蛍さんが言い、それに付き合うように清太郎さんが苦笑を浮かべる。




「まぁ…」


とにかく私は蛍さんの行動力と気の強さに驚いた。



「とにかく」

蛍さんはそう言って清太郎さんをなお私の方に突き出す。


「ちゃんと謝りなさいな」



やはり忙しい身なのだろう。
蛍さんは清太郎さんに「変な事なさったらただではすみませんよ」と睨みをきかせ足早に立ち去ってしまった。









とりあえず台所に通してお茶を出す。


どちらも口を開かなかった。