藁半紙の原稿

六月三日 曇り





満たされてゐる。

想ひ人に想われる事がこんなに満たされる事だとは知らなかつた。


この想ひが、怜香との将来を渋る故の勘違ひでは決してなひと言ふ確信が胸のうちに息づいてゐる。


只、彼女が愛しい。




身勝手と言われやうとも、曲げるつもりはない。










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