藁半紙の原稿

「………」

「………」



いつもなら平気なはずの沈黙が、気まずい。






「………あの」
「すまなかった」





私が口を開いたのと、霎介さんが椀を置いて頭を下げたのは同時だった。




「…へ?」


私がぽかんとしているとそのまま霎介さんは続ける。


「婚約者のいる身の上だと自覚のある上での行為だった。
その非礼を詫びたい」


ズキン、と胸が痛む。


「だが…」




終わりだと思っていた言葉の続きに顔を上げると、霎介さんが真っ直ぐに私を見ていた。
















「僕は、嘘も逃げもなく、君を愛してる」
















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