藁半紙の原稿

「?」


言われた通りに味噌の入った桶を渡すと彼はさっさと歩き出してしまった。
私は慌てて後を追う。


「え…そっ霎介さんっ」

「む?」

「私が持って行きますから…」


何処の家に家主に荷物を持たせる使用人がいよう。
だが彼は適当に返事をしたまま歩き続けるばかり。

困っていると霎介さんが振り返らずに私に声を放る。


「話を書くのにちょいと経験しときたいだけだろうから。
やらせてくれ」




お仕事をする上で必要なのならしかたがないか…





「お仕事の為だったんですね。
わかりました」










なんだか他人事のような口調がすこし気になったけれど、私は渋々それを了承した。






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