藁半紙の原稿

そんな彼に曽根さんはその表情のまま細めた眼の視線だけを向けて再度口を開く。


「浅やい」

「なんだ太郎」


どうやら浅、太郎と呼び合う仲らしい。


「またやったのか」

「何か問題が?」



さっぱり会話の意味がわからない。



「あのぅ…何の事ですか?」

「この男はね栞さん。
文具に関係のある名前には興味を持ち易いのですよ」



成る程、
わざわざ私に指名がかかったわけだ。

まず会った事もない使用人を名指しにする人自体稀だ。



「だって"栞"だぞ?太郎。
"栞"だ。
なぁ?君」


いきなりそんな事を振られても…
っていうか、何をそんなに真面目に力説しているのかしら…。







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