「椿。今日から、私とあんたは家族だよ。私はあんたのお母さん。あんたは私の息子。そして、今日からここが私たちの家だ。わかった?」





家族……。僕の家族。僕は、満面の笑みで頷いた。ルミさんは、今日から僕の家族。僕は今日から僕の家族。ルミさんは、僕のお母さん……。





「そうだ。椿……ここさ、小学校学区違くなっちゃったから、転校しなきゃなんだけど。別に、今の小学校も通えないわけじゃないから、ちょっと遠くなるけど……どうする?」





小学校……。僕は、今まで通ってたところでは、全くもって目立たないやつだった。それに、友達も施設の子以外はいなかった。だったら、他の小学校に行ったって変わらないじゃないか……





「転校してもいいです、僕は……」





ルミさんは、僕のことをジーッと見たあと、そうか、と一言言って、部屋を出ていった。ルミさんは、不思議な人だ。でも、優しいし、僕のことを考えてくれている……





僕は、することが無いので、部屋を出て書斎に向かった。ここは、僕が知らない未知の世界だ。そう思いながら、近くにある本片っ端から読んでいこうと決めた。