「優奈が可愛いから見てた」
「…ばか。
翔の方がよっぽど可愛いって騒がれてるじゃない」
照れ隠しからか少し怒ったような優奈の態度に
翔がふっと笑みをこぼす。
無表情なグレイのコンクリートの地面から空へと視線を移す。
でも今日は空もグレイで…
いつも覗いている太陽は雲の後ろでくすぶっていた。
「優奈、ホワイトデー何が欲しい?」
翔が空を見ながら言った言葉に
優奈がくすっと笑う。
「ホワイトデーって…
だってその日、翔の誕生日だよ?
チョコのお返しなんかいらないよ」
3月14日。
ホワイトデーであると同時に
翔の16回目の誕生日だった。
「何が欲しい?」
笑顔で聞いてきた優奈に翔が考え込んで…
「優奈の手づくりのもの」
そう答えた。
翔の答えに戸惑った優奈が少し膨れながら翔を見上げる。
「あたしが不器用なの知ってて言ってるでしょ…
作れないからバレンタインだって市販のチョコあげてるのに。
去年みたいにゲームソフトとかじゃダメなの?」
「ダメ。
いいじゃん、オレ誕生日だし…
それに去年とは違って彼氏だもん。
たまには彼女っぽい事して欲しいし?」
首を傾げて満面の笑みを向けてくる翔に
優奈が口を尖らせて目を逸らす。
「今だってしてるよ?」
そう言って優奈が見つめた先には
繋がれた手があって…
翔が小さくため息をつく。
「だってさ、手繋ぐのだって学校じゃ嫌だって言うし
家の近くになると…」
翔の言葉の途中で優奈が勢いよく繋いでいた手を離した。
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