【短編】微糖キャンディー


「この間って…

優奈が怒った時?」


「…ん」


「優奈…

あれやきもちだったの?」


「……」



流れる涙を手で拭いながら
優奈がコクンと頷いた。


北校舎の一番端にある図書室には
何の物音も聞こえてこなくて

優奈が小さく鼻をすする音だけが響く。





目の前で泣く優奈が可愛くて

やきもちを妬いた優奈が可愛く…



胸がどうしょうもなく苦しくなって
翔が優奈を抱き寄せようとした時…






……―――ぐぅ…



翔のお腹が鳴った。



「…ふ」


「……」


その音に優奈が小さく笑って…


翔ががっくりと方を落とす。


優奈を抱き締めようと伸ばした手を
虚しさを感じながら静かに下ろすと…


「翔、お腹空いたの?」


まだうっすらと涙の浮かんだ目で
優奈が笑って見せた。



「うん、ちょっと(笑)

だって今日昼飯食わなかったし」


「なんで?」


「…だって優奈が昨日一緒に帰れないとか言うから」


ふてくされながら言う翔に
優奈が呆れたように笑って…


「翔、これあげる」


カバンの中からペンケースくらいの箱を取り出した。


「…なに?」


翔が受け取りながら聞くと
優奈が気まずそうに口を開く。


「…チーズケーキ。

昨日美里と作ったの。

翔が手作りがいいって言うから…」


中を見るとそこには確かに三角形のチーズケーキが出てきて…


「…だから昨日一緒に帰れないって言ったの?」


翔が驚いた表情を向けると…


優奈が少し顔を赤くしながら頷いた。



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