「森山先輩いますか?」
佐藤が2年1組の教室を覗きながら優奈を呼んだ。
佐藤の姿を見て優奈が少し驚いた表情を浮かべて…
そしてゆっくりと佐藤のいる廊下に出た。
「あの…昨日の子だよね?」
優奈が少し遠慮がちに話しかけると
佐藤がにっこり笑う。
「はい、あのちょっと話があるんですけどいいですか?」
佐藤の言葉に優奈が頷くと
佐藤が歩き出した。
優奈が少し間を開けてその後を歩く。
佐藤が来たのは北校舎にある図書室だった。
一番広い面積を持つのに利用率はほぼ0に近い。
文芸部くらいしか使わない図書室は
古い書籍の匂いが充満していた。
2年も通ってるのに数回しか来たことのない図書室を物珍しげに見回して…
「話って?」
優奈が振り向いた途端、
いつのまにか廊下に出ていた佐藤が
図書室のドアを閉めた。
カチャン。
「え…」
「先輩、すみません。
でもやっぱり閉じ込め系が効果抜群だと思って(笑)
じゃ、いいホワイトデーを」
ドアの向こうで佐藤がそう言って…
優奈が慌ててドアに駆け寄る。
丁寧に鍵までかけられたドアが優奈の力であくはずもなく…
「ちょっとぉ…」
優奈が青ざめながら力ない声を出した時…
カタン…
部屋の中から物音が聞こえて
優奈が勢いよく振り向いた。
「…はめられたね(笑)」
振り向いた先には苦笑いをもらす翔がいて…
優奈が表情を歪めながら翔を見つめた。
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