「ちょっと、早川くんっ」
翌日の帰りのホームルームが終わると同時に
佐藤が声をかけてきた。
翔が浮かない表情で佐藤を見る。
「今日だよ?
あたし彼氏と約束あるんだからさっさと帰りたいんだけど…
ちゃんと仲直りできそう?
作戦立てた?」
今日は3月14日。
ホワイトデーであると同時に翔の誕生日だった。
それなのに優奈からは誕生日を祝うメールはなくて…
そんな小さな事にへこむ自分にまたへこむ。
「…いいよ。
オレ、今そんな気分じゃない」
遠くからなら微笑ましい佐藤のお節介も
その矛先が自分にむけられると結構迷惑な事に気付く。
ふてくされたように言う翔に佐藤がため息をついて…
尖らせた口を開く。
「…いいんだぁ。
森山先輩、今日の放課後、図書室に呼び出されてるよ?
きっと告白されるんじゃないかなぁ」
「は?!」
佐藤の言葉に
翔が勢いよく立ち上がった。
そんな翔に佐藤がにっこりと笑う。
「3年生だったかな?
昼休みにたまたま話しかけられてるところ聞いちゃって…
でもそっか、いいんだ。
…じゃ、あたし帰るから」
「あっおい…」
くるりと背中を向けて教室を出た佐藤の背中を呼び止めて…
でも翔の言葉だけが虚しく落ちた。
なんだよ…告白って…
マジで…?
本当に告白されたのか。
誰に告白されたのか。
優奈が何て答えたのか…
色々な疑問が頭の中をぐるぐる回る。
カバンを持って優奈の教室に足を向けて…
『図書室に』
佐藤の言葉が蘇った。
うずうずと優奈の教室に向かいたがる足を無理矢理止めて…
どっちに行くか迷った挙句…
顔を歪めながら図書室に向かう。
生徒でごった返す廊下が思うように走れなくて
翔の苛立ちを誘う。
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