「言わないとここでチュウしちゃうよ?」
翔の言葉に優奈がバッと顔を上げて…
また視線を逸らして…
やっと口を開いた。
「…隠し事してるのは翔じゃない。
あたしに言えないような事さっきの子と話してたんでしょ?」
優奈の言葉に翔が言葉を詰まらせる。
「え、や、違うよ。
今日体育ん時肘ケガして…
それで…ちょっと話してただけ」
嘘をつけないタイプの翔があたふたしながら言って…
そんな翔を優奈が責めるような視線で見つめる。
「…いいよ、別に。
帰ろ」
そう言って、するりと翔の腕の中から抜け出した優奈を止める事ができなくて…
翔が首の後ろをかきながら優奈の後ろを歩く。
いつもなら繋がる手がやけに寂しくて…
冷え性の優奈の手だってきっと冷たいに決まってるのに…
小さな嘘が…
翔を止めていた。
『恋人』
そのはずの2人の間に
3月の風が吹く。
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