規則の守護者

路地の先では、男が3人、銃と金を手にしていた。


……違反者。


茜は、銃を構える。

……しっかりするんだ、茜。

自分を叱咤して、茜は声を張り上げた。


「動くな!

武器の所有は、禁止!

すぐに武器を地面へ置け!」


茜へ背を向けていた男の1人が、悠然と振り返る。

他の2人も、特に驚いた様子はない。

その様子で、茜は悟る。


……負けた。
この余裕、経験が違いすぎる。


1人が、おもむろに口を開く。
中年の男だった。


「見ない顔だな。
兄ちゃん、監視者の新入りか。

……慣れない物は、持つもんじゃねえぜ」


中年の男は、まるで子供をなだめるかのように話し掛けてくる。

一歩、男が距離を詰めた。