「だからね…? 僕を選んで?」 真剣な郁。 私は、目をそらせなくなる。 いつも可愛い郁が、すごく男の子に見えた。 「っ…でも…私は」 ぎゅっ 言葉をさえぎるように、抱きしめてくる郁。 「答えは、わかってるから…。 言わなくていい。」 郁は、まるで宝物を抱きしめるかのように私を優しく抱きしめる。 それが、よけい胸を締め付ける。 「っ…郁…」 ゴメンは、言えなかった。 言っちゃいけない気がした。