この世界の旅人の言葉に、こんな軽薄なものがある。 あなたの傍で 何かが死を迎えたら、 憐れまずに 感謝なさい。 もしかしたらその死は、 ほかでもないあなたが 賜るはずだったのかも しれないのだから。 出会ったのは、いつだったか。記憶に新しくは無い。 この数日で、私は二つの死を見た。 電球と、カゲロウと。 エンと私が無言で見守る中、大きな亡きがらはゆっくりと砂の中へ沈み、姿を消した。