「私の服?」 「ああ、少し気になってね。 ワンピースに裸足だけの旅人なんて、見たのは初めてだ」 「ちゃんと下着もつけてるわよ。 このドレスは、べつに選んだわけじゃないわ。他のが無かっただけなのよ。だって……」 エンが口をつぐんで刹那、大きな影が空をよぎった。 静かな惨事だった。 決して無音ではなかったが。 それは一瞬にして私たちの頭上を通り過ぎ、珊瑚を砕きながら西の方へ墜落したのだ。